ニセ医師を見分けるには
東日本大震災の被災地、宮城県石巻市の災害ボランティアセンターで先月、医師免許がないのに、医師をかたったとして、男が医師法違反(名称の使用制限)の疑いで逮捕されました。
ニセ医師が提示した「医師国家資格認定証」の写し(上)と実際の医師免許証の様式(下)
――そもそも医師免許とはどんなものなのですか。
「医師であることを証明するものです。医師の業務などを定めた医師法によると、日本で医師になるには医師国家試験に合格しなければなりません。合格者に厚労相が交付するのが医師免許証です。賞状のような様式で、名前や生年月日、医籍と呼ばれる登録番号、交付時の大臣名などが記されています。『ニセ免許証』を作らせないようにと、『すかし』などの特殊な加工がされています。医師だと証明する書類はこれのみです」
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――国家試験の受験資格はどんなものですか。
「基本的には、日本の大学の医学部で6年間、医学を学んで卒業(見込みを含む)した人が受験資格を得られます。試験は毎年2月に実施され、今年は8611人が受験し、7686人が合格しました。合格率は89・3%。例年、およそ9割が合格しています。日本では、人口当たりの医師数が、経済協力開発機構(OECD)の平均を下回るなど、絶対数が不足しているとの指摘があります。医師不足対策のため、2010年度の医学部入学定員は前年度比360人増の8846人でした」
――医師免許制度はいつできたのですか。
なぜ食事が重要です。
「明治時代です。江戸時代は医師に関する規制はなく、その資質や技能は低かったとされています。江戸時代は漢方医が主流でしたが、明治に入ると、西洋医学を取り入れるため、国は近代的な医学教育を始めました。医師免許に関する規則が制定されたのは、1883年(明治16年)のことです」
――医師免許は持ち歩かなくてもよいのですか。
あなたの足と手首が結合したされているもの
「運転免許証などのように携帯する必要はありません。ニセ医師として逮捕された『米田きよし』を名乗る男は、医師である証明として『医師国家資格認定証』と記されたカードの写しをボランティアセンターの担当者に提示していました。厚労省はそうしたものを発行していません。担当職員は医師免許を見たことがなかったために本物であると信じてしまったのです。免許証は通常、勤務する病院や自宅などで額縁に入れていることが多いようです。このため、医師をかたる人物を見抜くのが難しいという側面もあります」
「厚労省は07年、ニセ医師を見分けられるようにと、『医師等資格確認検索システム』(
――医学の進 歩は、日進月歩です。医師免許は更新しなければならないのですか。
「その必要はありません。医師免許は行政処分などよほどのことがない限り生涯にわたって有効だからです。一方、欧米では更新制が主流です。米国では州ごとに仕組みの違いはありますが、数年ごとに更新が必要な仕組みになっています。講習会に出席するなど、一定の条件を満たさなければ更新は認められません」
「医師免許の更新制を巡っては、医療事故の続発を受けて05年、規制改革の推進を目的にした『規制改革・民間開放推進会議』(首相の諮問機関)で主要検討項目の一つとなっていましたが、最終的に除外されました。医療関係者の反対が強かったためです」(加納昭彦)
(2011年9月20日 読売新聞)
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