2012年4月21日土曜日

マレーシア:Maxisの「Pocket Doctor」提供〜モバイルヘルスケアとその背景


 2010年9月17日、マレーシアの通信キャリアMaxisが、健康ポータル「Pocket Doctor」の開始を発表した。パソコン、携帯電話、SMSで健康、フィットネス情報、BMI計算、性に関する情報、病気事典、食事アドバイス、健康管理のサービスを受けられる。パソコンでの情報はMaxisユーザでなくても一部は閲覧可能。無料のものから、月3リンギッド(約75円)で利用が可能なものまであり、MaxisユーザはSMSまたはパソコン上からユーザ登録ができる。
Maxisでは、MYLAUNCHPADというポータルサイトを運営しており、その中にヘルスケア分野もある。

 今回は、通信事業者がヘルスケアサービスを提供するに至ったマレーシアの健康事情の背景についてみてみたい。

 2008年10月の報道によると、マレーシア成人の43.1%が平均体重をオーバーしており、3人に1人が高血圧、5人に1人が高コレステロール血症だという。肥満が原因となっている心臓疾患の患者数は、2003年の3万7,284人から2006年は18%増の4万4,201人となり、心臓疾患による死者数も、同期比36%増の3,673人となったという。
また、2010年12月の世界保健機関(WHO)の調査によると、マレーシアの成人の肥満率がアジアで6位の高さだったと、リオウ・ティオンライ保健相が明らかにした。(下記動画参照)


オハイオ州の痛みの専門家

 2006年に行われた国家保健疾病調査の結果を元にしたもので、18歳以上の成人人口の60%にあたる740万人が肥満の目安とされるBMI肥満度指数の23ポイントを上回っていた。児童の肥満増加も深刻で、2001年に20.7%だった肥満率は2007年には26.5%に増加しているという。 
マレーシアより肥満率が高かったアジア諸国は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、ヨルダン——といずれも中東のイスラム国家である。東南アジアではマレーシアがダントツの1位である。
原因として揚げ物、脂っこい料理、高脂質の食品摂取が多く、野菜や果物の摂取量が足りないためとみられている。
さらに、2010年3月にはリオウ・ティオンライ保健相は、「マレーシアの成人は、1日の平均砂糖摂取量を超えて、1日51グラム(スプーン7杯)の砂糖を飲み物などから過剰に摂取しており、マレーシア人は砂糖を過剰摂取する傾向にある」とコメントした。


ダブリンのうつ病·ソリューション

 たしかにマレーシアの料理は多種多様である。中華系、マレー系、インド系、ニョニャ系(中国とマレーの融合)のどれもが脂っこく、ボリューム満点で満腹になる。さらにおやつにも脂っこいカヤトースト、甘いかき氷(チェンドル)、中華系の豆腐花、コンデンスミルクのたっぷり入った甘い紅茶(テタレッ)、更に南国ならではのフルーツも盛りだくさんである。
街には屋台やレストランモール、最近では24時間営業のレストランが溢れていて、あらゆるところで美味しいものが大量に食べられる環境にある。太るなという方が難しい。
現在、マレーシアでは肥満が大きな社会問題になっているとの報道もある。(下記動画参照)

 マレーシアの人口は約2,740万人で、IMFの統計によると、マレーシアのGDPは約2,222億ドル(約20兆円)であり、埼玉県の県内総生産(約20兆円)とほぼ同じである。またマルチメディアスーパーコリドー構想に代表されるようにICT産業の育成にも積極的であり、もはや新興国ではない。

 フィットネスクラブやスポーツジムに通いダイエットに励む人も多いらしいが、常夏のマレーシアでは汗をかきながら運動することは長続きしないのだろうか、肥満は減少していないようだ。余談だが、マレーシアだけでなく東南アジアのオフィス内はどこも冷房が強く寒いくらいである。


ときに発熱、赤ちゃんに危険です。

 最近マレーシアでは世界的にも注目を集めているメディカルツーリズムの振興を図っている。日本商工会議所のデータによるとメディカルツーリズムは、年率10%以上の規模で成長しており、既にその訪問者数は、100万人を超え、約8億リンギの医療収入がある。2009年12月に設立された「マレーシア・ヘルスケア・トラベルカウンシル(MHTC)」が医療観光促進プロジェクトを担当している。しかしこのままでは皮肉にも一番ヘルスケアが必要なのはマレーシア人自身になってしまうのではないだろうか。

 このようなマレーシアの状況をみると、Maxisが通信キャリアの新たなビジネス創出として携帯電話を活用したヘルスケアに着目したことは興味深い。同国において、今後それなりの需要が見込める市場といえるだろう。
日本でもNTTドコモが「iBodymo」を提供し、KDDIが、「Karada Manager」や「au Smart Sports」を提供している。さらに多くの携帯電話が万歩計を搭載している。

 しかし携帯電話やIT機器にばかり頼り切っていないで、運動をする食生活を改善する本人の努力がない限り肥満はなくならないだろう。マレーシア人だけでなく全世界の人に言えることだ。

(参考サイト)
Pocket Doctor:
日本からも英語で閲覧が可能なので、アクセスしてみて頂きたい。

Malaysian Association for the Study of Obesity:


【参考動画:アジアで6位の肥満の多い国になったことを発表するリオウ・ティオンライ保健相(2010年)】

【参考動画:マレーシアの肥満問題について語るニュース(2010年)】

【参考動画:Maxisのテレビ広告(今回のモバイルヘルスとは関係ない)】



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