OJITEC BLOG 極夜とうつ病
極夜とうつ病
―ノルウェーのオーロラ(たまに赤や紫のときもある)―
ヒトは,夜になると眠くなります.
睡眠は脳(松果体)からメラトニンという物質によって調節されています.メラトニンはトリプトファンというアミノ酸から,セトロニンという物質を経由して作られます.このセロトニンは,神経伝達物質として私たちの感情に深く関わっています.
セロトニンが増えると活発になります.異常に増えると,いわゆる躁(そう)と呼ばれる状態になります.逆に異常に減ると気分が沈み,鬱(うつ)と呼ばれる状態になります.
元々は同じアミノ酸から作られるメラトニンとセロトニンですが,日中はセロトニンが多く分泌されて,夜間はメラトニンが多く分泌されます.こ� �らの調節は,体内時計(サーカディアンリズム)によって調節されています.また,太陽の光はセロトニンの分泌を促進する効果があるようです(日本光線療法協会).確かに,徹夜明けでも朝日を浴びるとすっきりするな.
極夜期間,ずっと夜なので常に眠くなります.
きっと私の脳内では,メラトニンが多量に分泌されていることでしょう.そして,セロトニンの分泌が低くなっていると思います.太陽の光のサポートもありませんから,うつ病になりやすくなります.実際に北欧では,これが原因で自殺率が高かったようです.しかし,国が様々なサポートをすることにより自殺率を下げることに成功しました(日経サイエンス).
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イワナなどの魚は,湖の氷の下でじっとしています.もしかしたら,うつ病のような状態かもしれません.しかし,この時期はエサも少ないし,半冬眠していた方が得策だと思います.そして夏,彼らは本気を出します.短い夏に一年分稼ぐ勢いで,活発に摂餌して脂肪を蓄えます.イワナをはじめ北極圏の魚類は非常にメリハリのある生活をしています.
ホッキョクグマは,妊娠したメス以外は冬の間も冬眠しないようです(ウィキペディア).ヒグマが冬眠することを考えると,ホッキョクグマは冬でも獲物(アザラシとか)を確保できるから冬眠しないのだろうと思います.首や四肢が長くて,水中の獲物を捕 獲するのに適した体をしていますし….
私の町で見かける鳥たちは,種によって冬の過ごし方が異なります.カモメ(ウミネコ?)たちは,冬の間南に移動します.そして春になると戻ってきて,子育てをします.カラスっぽい鳥(下の写真)は,移動することなく年中見かけます.
人間社会では冬眠や逃亡が許されず,耐え忍ぶことしか許されていませんが,他の動物は冬眠したり,逃亡したり,耐え忍んだり,様々です.どの種も北極圏でたくましく生き残っているので,それぞれが立派な戦略です.冬眠するイワナ,温かい地域へ移動するカモメ,そしてカモメがいなくなることで競争相手が減り,そのまま居残るカラス.ホッキョクグマは,流氷を利用してアザラシなどを捕らえたり,冬を上手に利用している.
そう考えると,現代人は北極圏に適応しているわけではないのか?
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私だけでなく,ノルウェー人たちも冬は眠くなるようです.ノルウェー人の祖先は2400年くらい前に,ゲルマン人(ドイツ付近に住んでいた人たち)がノルウェーに定着したのが始まりといわれています(ウィキペディア).
ヒトの祖先は,10万年前にアフリカに住んでいたといいます(ウィキペディア).それから,世界各地に分散していきました.つまり,この時点ではアフリカの気候に適応していた.
ヨーロッパ人よりも先に北極圏で生活していた北米のイヌイット(エスキモー)や北欧のサーミ人たちは,1万年くらい前には,それぞれの場所で生活していたようです.寒い地域で厳しい生活をし� ��いただろうから,寒さや極夜に耐えた人のみが生き残った.
彼らはゲルマン系のノルマン人よりは,極夜に適応しているはず.かなり文明に染まってしまったとはいえ,彼らと私たちの特性(遺伝子)に違いがあるとすれば面白いです.
20歳で子供を残すと考えると,1万年で500世代,2400年で120世代です.実験室内で大腸菌を培養した実験では,2万世代くらいで,有益な突然変異(クエン酸塩の代謝)が観察されました(スラッシュドットジャパン).適応するには500世代では,足りないような気がします.結局は,どれだけ適応できない人が死んでいったか(自然淘汰)にかかっているのかもしれません.
自然に対する適応力と科学
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現代人は科学(自然科学(理系)と社会科学(文系)を含む)を磨くことで,自然に自分の体を合わせる生活を捨てることになりました.科学の進歩によって,本来ならば自然淘汰される人であっても生き残れる社会が実現したと考えることができます.弱い人でも生きることが許される社会…,弱肉強食の動物の世界では基本的にありえないことです.
そう考えると,助け合いが人間社会の特徴.相変わらず,あちこちで戦争していますが….
人類は科学の力でどれだけ長く生き残れるか?多くの動物たちが乗り越えられなかった氷河期や,隕石の衝突を乗り越えることができるか?絶滅したくなければ,科学を磨くしか� �いのだろうな.
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テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術
- 2008年09月24日 00:00 |
- 環境
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